地元に根付く硝子
  北見市で生まれ、硝子工芸を小樽市にて始めて以来、ずっと小樽に住んでいる。
  地元に根付く硝子ということであるが、小樽の硝子は地元に根付いているのだろうか。堺町に行かない市民が小樽がらす市に足を運んでいる。根付いていると感じるのは、小樽がらす市に市民が来場しているのを見たときだけではないだろうか。
  2014 年から「小樽がらす市実行委員会」の委員長を務めている。がらす市への来場者の多くは小樽市民だったが、市民の方と小樽の硝子が触れ合う機会は小樽がらす市くらいでしか感じたことがない。今後も小樽がらす市を継続開催し、盛り上げていきたい。
  小樽の硝子を長い目で見て、がらす市の発展とともに、市の事業として行っている卒業記念硝子製作体験をこれからも行っていきたい。この事業は、市内小学生なら無料で参加できる、全国的にみても稀な取組であり、単なる補助事業ではなく、子どもたちからの底上げをし、産業の根元からのテコ入れとなっている。
  現在、「小樽硝子作家会」という、個人の儲けやしがらみ等なしに、ものづくりとして硝子を世に出せる腕を磨く同好会を立ち上げる準備をしている。
  個人の活動としては、各地の百貨店で開催している催事に出展しているが、来場者は皆“小樽”という名前に反応する。“おたる” という名前がブランドになっているが、その名にあやからず、小樽硝子を発展させていかないといけない。


  観光に頼らない硝子
  自分は、販路がある（市内の土産品として販売している、硝子製品の卸先がすでにある）状態からスタートしており、そこに卸していれば生活していけるので、外に目を向けるのが遅くなった。自分の中でのグローバルは市外（国内+国外）であり、ローカルは地元の祝津である。
  卸先の商品の売上げが減ると厳しい状況になる。経営の柱となるものを増やすため、“グローバル”をキーワードに、現在外に向けて活動を広げており、福島県喜多方市や鹿児島県霧島市の業者等とつながるようになった。
  なんでもやってみるということが大事だと思っており、それが次に繋がることもある。トヨタ自動車及び高級ブランドのレクサスでは、地域の特色を生かし、新しいモノづくりに取り組む若手職人を各都道府県から１名ずつ選出し、日本全国及び世界へ羽ばたくことをサポートする「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT2017」という事業を行っており、北海道代表として自身が選出された。この事業は、地域性が重要であり、地域の特色を生かした活動にサポートをしてくれることから、以前知り合いから聞いたことがある「小樽焼」というものを硝子で作ってみようと思っている。小樽焼はもともと陶器として知られているが、小樽ではもう職人がいないと聞いたため、硝子で小樽焼を復刻させたいと考えた。プロのデザイナーやコーディネーターに相談しながら制作しており、来年（平成30年）1月か2月に完成する予定である。活動の１つとして、継続していきたい。